フォールスコンセンサスとマーケティング

フォールスコンセンサスとは、「自分の意見や行動が常に多数派であり、正しい」と考える心理現象。
人は、自分が多数派であると思えば安心感を得られ、逆に、安心感を得るために根拠なく自分は多数派であると思ってしまう傾向がある。
その結果、自分が正しいと思う気持ちが強くなるほど、異なる意見や行動を受け入れにくくなるのである。
フォールスコンセンサスは、自分にとって都合のいい解釈をすることで、自分に多数派の合意があるように錯覚し、正しい判断ができなくなることから、「偽の合意効果」とも呼ばれる。


フォールス・コンセンサスのマーケティングへの影響

企画者・制作者側のフォールスコンセンサス
販促プロモーションを企画・制作する側の人に、フォールスコンセンサスが働くことがある。
自分の考えたデザインやコンテンツが多数派に向けたものであると感じてしまい、現実がそうでなかった場合、思ったような結果が得られない。
例)
・多くの人が好むだろうと思ったデザインがウケなかった。
・ターゲットに共感を得られるだろうと思ったコンセプトがクレームの原因になった。
・大規模な販促施策を行った商品よりも、販促の力を入れなかった商品の方が売れた。

マーケティング担当者は、できるだけ客観的に多くの消費者・生活者の心理を掴むことを狙う立場にあるが、実際には主観的に考える人が多い。「自分の考えが多数派である」、「自分は多数派の消費者の気持ちをわかっている」という先入観に気を付けなければならない。

消費者のフォールスコンセンサス
消費者側に生まれるフォールスコンセンサスの中で、マーケティング的に注目しなければならないのは、商品にマイナスのイメージを持っている消費者の思考である。
そのような消費者の多くは「自分の価値観や評価が正しい」と考えているために、その自分の意見と合わない商品は悪いものと考え、購入はもちろん、商品への印象を好転させることも難しくなる。
例)
・自分の方が企業よりも正しい情報を持っていると思う
・自分が高いと感じる商品は、価格が不当に上乗せされていると思う
・このサービスは自分には関係ないと即断する。

この力を弱めるためには、データを示すなど客観性のある訴求も大切だが、消費者が信じる情報や意見を肯定しつつコミュニケーションをとっていく手段も有効である。



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