人は、高額な買い物や重要な決断をする際に、精神的な緊張状態にあり、購入を決定し、その緊張状態から解放された瞬間、注意力が低下し、財布の紐が緩みやすくなるという現象が起こりやすいとされている。
テンション・リダクション効果を活用している手法
マーケティングでは特に販促シーンで多く活用されており、顧客の「ついで買い」や「クロスセル」を促すために有効な手法として活用されている。高額商品の購入後の関連商品提案
最も典型的な例は、高額な商品を購入した直後に、比較的安価な関連商品を提案すること。
例1:アパレル店舗
高額なスーツを購入した顧客に、ネクタイやアクセサリー、シャツを勧める。
例2:家電量販店
パソコンやテレビを購入した顧客に、延長保証サービスやケース、ケーブルなどの周辺機器を勧める。
ECサイトでのおすすめ機能
オンラインショップでは、顧客がカートに商品を追加したり、購入を完了した直後の画面で、おすすめ商品が表示される機能がこの効果を狙っている。
例:「この商品を買った人はこんな商品も買っています」や「おすすめの追加商品」として表示する。
営業・接客におけるクロージング
対面での営業や接客では、顧客が商品の購入を決断した直後に、オプションや関連サービスを提案します。
例:自動車のディーラー
新車の購入契約が完了した後に、カーナビやETC、フロアマットなどのオプションを勧める。
テンション・リダクション効果を活用する際のポイント
テンション・リダクション効果をうまく効かせるためには、以下のようなポイントがある。価格差と関連性
最初に購入する商品が高価であればあるほど、顧客の緊張状態が高まり、その後の効果が大きくなる。
合わせて、追加で提案する商品は、最初に購入した商品と関連性が高いことが重要。
タイミング
購入を決断した直後や、決済が完了した直後のタイミングが最も効果的。この瞬間に顧客は心理的な緊張から解放され、判断力が低下している。
バンドワゴン効果との組み合わせ
「よく一緒に購入されている商品」などの文言は、“みんなも買っているから”という安心感(バンドワゴン効果)が生まれる。警戒心が薄れていることからバンドワゴン効果がさらに強く働き、「この機会に買っておいていいだろう」と思いやすくなる。
損失回避の法則との組み合わせ
「あと〇〇円分購入すると〇%割引・送料無料」というような施策は、購入者が「あと〇〇円買わないと損をする」、「得を逃したくない」という気持ちになる(損失回避の法則)。高額な購入をしていると、追加で買うことへの抵抗感が薄れ、追加購入をしやすい。